【高校地理】地球温暖化(気候変動) | 世界の環境問題【授業動画】

はい、皆さんこんにちは。高校地理の授業動画、今回から新しい単元「世界の環境問題」に入ります。世界には様々な環境問題がありますが、その中でも第1回は「地球温暖化」を取り上げます。

動画は大きく3つのパート、

1 地球温暖化の原因
2 地球温暖化の影響
3 地球温暖化の対策

という構成で解説していきます。
1 地球温暖化の原因

先ずは、地球温暖化の原因から。

地球温暖化というのは、文字通り地球の気温が上がることです。

こちらのデータによると、この100年間で、地球の気温は平均で約1度上昇していることが読み取れます。

この原因には「温室効果」という現象が関係しています。

地球の気温は、太陽から地球に入ってくる熱と、地球から宇宙に出ていく熱のバランスで決まります。

もしも太陽からの熱が全部宇宙に逃げてしまったら、地球は寒すぎて住めない星になってしまいます。

しかし、そうならずに地球が程よく暖かいのは、「温室効果ガス」といって、地球から熱が逃げすぎないように、毛布のように地球を覆っている気体があるからです。

この温室効果ガス、適度な量ならいいのですが、多くなりすぎると、地球に跳ね返る熱が増えて、地球の気温が上がってしまいます。この現象が、まるで、温室の中が暖かい仕組みに似ていることから、「温室効果」と呼ばれます。

具体的には、最も影響が大きい温室効果ガスは二酸化炭素、CO2です。他にも、家畜のゲップや糞から出されるメタンや、エアコンや冷蔵庫に使われるフロンという物質も、温室効果ガスの一種です。

こちらのグラフは、空気中の二酸化炭素濃度の変化を表したものです。
二酸化炭素というのは、主に石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やすことによって排出されます。1800年代頃から大気中の二酸化炭素の量がググッと増えていますが、これは産業革命によって人間が石炭を大量に使うようになったためです。

ここ数十年に絞ったグラフを見てみると、毎年どんどん二酸化炭素濃度が増えています。残念ながらすぐには減りそうな様子がありません。

では、この二酸化炭素はどこの国が出しているのでしょう。

現在、排出量1位の国は中国。世界最大14億人の人口を持ち、中国だけで世界の二酸化炭素排出量の4分の1以上を占めています。以前はアメリカが世界一だったのですが、経済発展に伴って2000年頃からCO2の排出量もどんどん増えてきました。

2位は、世界一の経済大国アメリカ。経済活動が盛んということは、それだけたくさん電気を作ったり、工場を動かしたりと、たくさんの化石燃料を消費しているため、二酸化炭素排出量が多くなります。

3位はインド。まだまだ経済発展の水準が低いのですが、中国とほぼ同じ約14億人の人口がいるため、国全体での排出量は多くなっています。これから二酸化炭素排出量が大幅に増えていく国でしょう。

その下にもロシア、日本、ドイツ、韓国、カナダなど、排出量の上位には、工業化が進んでいる先進国や、人口の多い国がならんでいます。世界には200近い国がありますが、上位10カ国だけで、世界全体の二酸化炭素排出量の7割くらいを占めています。

今度は国全体の排出量ではなく、国民一人当たりの二酸化炭素排出量を国ごとにみてみましょう。

こちらの図で、棒グラフの長さは国全体、人間の形の大きさが一人当たりの二酸化炭素排出量を示しています。中国は、国全体だと世界一でも、一人当たりだとアメリカの半分以下、インドは中国のさらに4分の1くらいしか二酸化炭素を排出していません。

一人当たりの二酸化炭素排出量は、自動車や電気をたくさん使う先進国ほど多く、途上国では少ないという傾向があります。

なお、ここに載っていない国も含めると、一人当たりの二酸化炭素排出量ランキングはこのようになります。

上位には、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビアと中東の国々が並びます。こうした国々は自分たちの国で石油がわんさか取れるので、石油で作ったエネルギーで海水から真水を作って農業に利用したりと、石油を大量に使うことで生活している砂漠の国なので、一人当たりの二酸化炭素排出量が非常に多くなっています。

原因の最後に、二酸化炭素以外の温室効果ガスとしてメタンについても触れておきましょう。
メタンというのは家庭のガスコンロでも使われる都市ガスの主成分なのですが、実は、牛のゲップや糞にもメタンが含まれます。人間が家畜として大量に牛を飼うようになったため、そこで発生するメタンの量が、地球温暖化に影響を与えるほどになっています。こうした理由などから、肉食を控えることが温暖化対策になるという主張もあります。

2 地球温暖化の影響

続いてのパートは、地球温暖化の影響です。

こちらの図は、これから先、地球温暖化が進んだら地球の気温は何度くらい上がりそうかという予想を示したものです。

気温の予想というのはすごく難しいので、ずいぶん幅があるのですが、これから世界中で温室効果ガス排出量を大幅に削減できれば、2100年までの気温上昇を1.5℃以内に抑えられそうなんだけど、対策が十分に取られなかった場合、気温が今より5℃以上上がる可能性もありそうだ、と言われています。

これだけ気温が上がるとどんな影響が出てくるのでしょう。
1)海面上昇
2)気候変動(大雨、干ばつ、など)
3)生態系の変化
という3つの視点から考えてみましょう。

1つ目は、海面上昇。
地球の気温が上がることで、大陸の氷河が溶けたり、海水が暖かくなって膨張することで、海水面が今よりも高くなります。予想では、2100年までに今よりも約1m海面が上昇する可能性があるとされています。

すると特に、海抜の低い地域や海の近くに暮らしている人々にとっては、自分たちの住む場所が海に沈んだり、畑や井戸に海水が入ってそこで暮らせなくなってしまいます。

例として、南太平洋に、ツバルという島国があります。珊瑚礁でできた島で、標高が最も高い地点も4mしかなく、海水面の上昇によって最も被害を受ける国の一つです。ツバルは、温暖化によって住む場所を失う人々を「環境難民」と呼び、オーストラリアやニュージーランドに移住させようという取り組みも行なっています。

ツバルのような島国だけでなく、同じく珊瑚礁でできたインド洋のモルディブ、ガンジス川のデルタに位置するバングラデシュなど、国土が低くて平らな国では、海面上昇による国土の水没が懸念されています。日本でも、海面が1m上昇したら砂浜の約9割が無くなり、東京のように低地が多い都市では水害のリスクが非常に大きくなります。

2つ目の影響は、気候変動です。

気温が上昇すると、空気中に含まれる水蒸気の量が増えるために、雨が少ないところではさらに雨が少なくなって干魃がひどくなったり、反対に、雨の多いところでは、これまで何百年に一度しか起こらなかったような大雨や洪水の頻度が上がると予想されています。特に乾燥地域の途上国にとっては、干魃による食糧生産への大きな打撃が懸念されています。

3つ目の影響は、生態系の変化です。

気温が上昇することによって、動物や植物が育つ範囲が変わります。例えば、熱帯の病気であるマラリアは、ハマダラカという蚊によって運ばれるのですが、こうした蚊が日本でも生きられるようになれば、熱帯性の病気が日本で広がる可能性があります。
また、海水温度が上昇することで珊瑚礁が死んでしまう、珊瑚の白化現象も観測されています。

3 地球温暖化の対策

最後のパートは、地球温暖化への対策です。

先ずは国際社会の取組を、時系列で見てみましょう。

最初の大きな会議は、1992年に開催された国連環境開発会議(別称:地球サミット)です。

世界中の国が集まって環境問題について話し合った会議で、気候変動枠組み条約というものが採択されました。

この条約では、温室効果ガスの削減を目指すことが決まったのですが、具体的な目標数値などは、1年に1回、COPという会議を開いて継続的に話し合うことになりました。

そして、1997年に日本の京都で開かれた第3回目のCOP会議、通称COP 3において採択されたのが、「京都議定書」です。世界ではじめての、地球温暖化に関する国際的な約束でした。

それぞれの国が、何%ずつ温室効果ガスを減らすか、という具体的な目標が話し合われたのですが、話し合いは難航。化石燃料をガンガン使ってこれから経済発展したい途上国と、温暖化を止めたい先進国との利害が激しくぶつかった会議でした。

そして、2015年には、フランスのパリで行われたCOP21で、京都議定書の後継ぎとなるパリ協定が採択されました。

京都議定書では、先進国だけが温室効果ガスの削減目標を課され、中国やインドを含む途上国は削減義務がありませんでした。そして、これに反発したアメリカが2001年に離脱するなど、効果に疑問が残るものでした。

一方でパリ協定は、世界中の全ての国に温室効果ガスの削減義務があります。アメリカは、トランプ大統領時代に一度パリ協定を離脱したものの、バイデン大統領になった2021年には協定に復帰しました。

最後に、地球温暖化への具体的な対策についてです。
対策には、大きく分けて緩和策(mitigation)と適応策(adaptation)という2つの考え方があります。

緩和策というのは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を削減しようとするものです。日本は「2050年には、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という脱炭素社会への目標を掲げており、再生可能エネルギーの推進などを行なっています。これに加えて、植林などで二酸化炭素吸収量を増加させることも、緩和策に含まれます。

一方で、適応策というのは、緩和策をとっても避けることが難しいような温暖化の悪影響を軽減しようとするものです。例えば、海面上昇に対応するために高い堤防を作ったり、降水量が減った場合の水不足対策として水資源を確保したり、変化する気候に対応できる農作物を開発したり、などが適応策です。

緩和策と適応策、この両方を進めていくことが、和達には求められています。

はい、今回の動画は以上となります。
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それではまた次回!

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